※実際の事例を題材としていますが、個人情報保護の観点から変更を加えています。また、費用や期間についてはあくまでも個別のものであるため、類似のケースでも金額は異なる場合があります。

①お客様の状況

■80代男性。長男、長女、孫(長男の子)がいる。

■「先祖代々承継してきた不動産を長男の直系に承継させたい」「認知症対策を行いたい(収益物件の管理処分を長男に任せたい)」とのご相談でした。

当事務所からの提案および組成内容

管理権限の移行および資産承継を目的とした信託をご提案いたしました。(委託者兼受益者をご本人。受託者をご長男、第二受益者をご長男、帰属権利者をお孫様とする。受益者代理人にご長女を設定)
また、ご長女の遺留分を考慮する必要があるので、別途遺言書の作成を行うこととしました。

<ポイント>
本事例のように、受益者の死亡により受益権が予め指定された者に引き継がれる信託を「受益者連続型信託」と呼びます。
現行の民法上、ご本人は自身が亡くなった際の遺産分割方法を遺言で定めておくことができますが、子が死亡したときの内容までは指定することができません(子が土地・家屋を相続した後は自由に処分できます)
ところが、家族信託を活用すれば、子が土地・家屋を処分することを防いで、孫の代あるいはその先の代まで財産を承継するしくみをつくることができます。
数次相続における財産承継を実質的に可能にする手段として有効な手段といえます。
このように、家族信託を利用することで不動産をご長男の直系に相続させることはできますが、ご長女の遺留分を侵害することはできません。そのため、遺留分を考慮した対策は不可欠となります。

また、家族全員を関与させること(受益者代理人に長女を設定する)で、安定した信託とすることができます。

③かかった費用や期間

■費用:信託組成報酬100万円 ※別途登録免許税20万円
■期間:約4か月

当事務所での組成事例-003
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