教えて!サポートさん

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第4回 認知症と成年後見制度② -利用状況など-

成年後見制度の概況
サポートさんサポートさん

成年後見制度の概況も少しお話しさせてください。なおこれからご説明する図表は、最高裁判所事務総局家庭局による「成年後見関係事件の概況-平成30年1月~12月-」のデータを引用しています。

申立て件数と利用者数
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サポートさんサポートさん

成年後見の申立ては毎年28,000人前後で推移しています。平成30年12月の時点では、およそ17万人の方が成年後見人制度を利用しています。2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になるとの推計もあり※1、いわゆる認知症予備軍の方まで含めると、65歳以上の3~4人に1人は認知症又はその予備軍となる可能性もあります。したがって、今後も利用者数は増加すると考えられます。
※1「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業)

信子(母)信子(母)

そんなに高い割合なの?そうなると私だってわからないし、お父さんのことばかり心配していられないのね…。

開始原因と申立ての動機
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サポートさんサポートさん

次に後見申立ての開始原因ですが、約3人のうち2人は認知症が原因となっています。また、申立ての動機で一番多いのは、預貯金の管理・解約で、全体の4割近くを占めているのです。なお2番目に多い「身上監護」というのは、本人の生活や療養、介護などに関するものです。具体的には、住居の確保や施設への入退所手続、介護サービスの申込みなどです。

頼子(長女)頼子(長女)

これを見ると、お隣さんの例は珍しいケースというわけでもないのね。

成年後見人と本人の関係
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サポートさんサポートさん

最後に、成年後見人と本人の関係です。図表のとおり、4人に3人は親族以外の専門家が成年後見人で、親族が成年後見人になっているのは4人に1人という状況です。実は、10年ほど前までこの割合は逆でした。つまり、4人のうち3人は親族が成年後見人だったのですが、年々この割合が下がっていき、現在にいたります。

頼子(長女)頼子(長女)

どうしてそんなことになったの?

サポートさんサポートさん

親族が成年後見人になると、本人資産の私的流用など不正が行われやすいから、という考え方が大きな理由となっているようです。

信子(母)信子(母)

そうすると、家族の希望は聞いてもらえないの?もしもお父さんや私が認知症になったら、娘に成年後見人になってもらいたいわ。

サポートさんサポートさん

申立ての際に親族などの候補者を記載することはできます。ただし、誰を成年後見人にするかは裁判所の判断となるので、記載された候補者が必ず選任されるとは限らないんです※2。また、本人が一定の財産を保有している場合などは、ほとんどのケースで専門家が成年後見人となるようです※3

※2具体的には、本人の心身の状態・生活及び財産状況・候補者と本人との利害関係の有無・本人の意向などの事情などが総合的に考慮されます(民法843条1項、4項等)
※3東京の場合、500万円以上とされています

今回のまとめ
ポチ(柴犬)ポチ(柴犬)

「凍結された口座からお金を引出すために成年後見を利用する」という話は、決して珍しいことではないんです!次回からは、成年後見制度の注意点などをお伝えしていきます!

※本記事は掲載当時の法令等に基づき作成しております。また実際の金融機関等の対応は、個別事情などにより異なるケースがあります。