なぜ、家族信託が注目されているのか

従来の制度では難しかった、オーダーメイド型の資産管理・運用ができるから

ここ数年、雑誌や新聞・TV等で家族信託という言葉が注目を集めるようになってきています。その背景には、「家族信託を用いることで柔軟な資産管理と資産承継を目指すことができるから」という理由があるのです。

従来から、資産管理・資産承継の対策としては次のような制度が用意されています。

●「委任」→本人が元気なうちから本人に代わり資産を管理・処分する権限を与える

●「成年後見(任意後見)」→本人の判断能力が低下した後に、資産を管理・処分する権限を与える

●「遺言」→本人の死亡による資産の承継先を指定できる

しかし、これらの制度には負担や制約が多く存在し、使い勝手が悪い部分もあることから、本人や家族の希望通りの資産管理・資産承継が実現できないという問題がありました。

これに対し、家族信託では従来からの制度の問題を回避し、本人や家族の希望を実現するための柔軟な設計と運用を行うことができるのです。いわば「理想的なオーダーメイド型の資産管理・資産承継」を可能にできるということが、家族信託が注目される理由なのです。(従来の制度との具体的な違いは、別記事「成年後見・遺言・委任との違い」をご参照ください)

また、これまでは「生前の資産管理は委任」「認知症等で判断能力が不十分になってしまった場合の資産管理は成年後見」「相続発生後の資産管理は遺言」など、ライフステージに応じてそれぞれの制度を利用する必要がありました。

しかし、家族信託を上手に活用すれば、生前から相続発生後(二次相続以降も)まで、一貫して対応することも可能です。(ケースによっては従来の各種制度を取り入れ、使い分けたほうがよい場合もあります)

こういった理由から、今後はますます家族信託のニーズが高まっていくと考えられます。

家族信託とこれまでの制度
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