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第5回 認知症と成年後見制度③ -後見制度の注意点 その1-

 

成年後見人がいれば安心?

頼子(長女)頼子(長女)

成年後見人制度の大まかな内容はわかりました。そういえば、サポートさんが「認知症になった場合、成年後見人をつけたからといって必ずしも安心ではない」といった趣旨の話をしていましたけど、これは結局どういうことなんですか?

サポートさんサポートさん

はい。それに関しては「①本人保護の要請による厳格な運用」「②成年後見にかかる費用」「③成年後見が続く期間」というテーマでお話ししますね。

①本人保護の要請による厳格な運用

サポートさんサポートさん

後見制度は本人の権利や利益の保護を目的としています。そこで「本人資産の維持」という点が重要視され、資産の運用や処分といった行為については裁判所の監視・監督のもと、慎重な判断がなされるのです。つまり、本人の財産を減らすような行為は、原則的にはできなくなります

信子(母)信子(母)

「成年後見人は本人の支援者」というのだったら、当然それぐらいしっかりやってもらったほうがいいわね。

サポートさんサポートさん

ただ、これが時として妨げになってしまうようなケースもあるのです。

頼子(長女)頼子(長女)

どんな時ですか?

サポートさんサポートさん

例えば、これまで生前贈与を行ってきたときです。相続税対策として本人の財産を毎年家族に贈与することがありますが(暦年贈与といいます)、成年後見が始まるとこれはできなくなります。なぜなら、贈与という行為は本人の立場からすると、財産を減らすことに他ならないからです。
また同じ理由から、財産管理の方法も元本が保証されたものなど安全確実な方法が基本となり、投機的な運用などはできないようになっています。

頼子(長女)頼子(長女)

なるほど、贈与は確かに相続人である家族の利益にはなるかもしれないけど、本人には利益はないわね…。

サポートさんサポートさん

また、自宅(居住用不動産と呼ばれます)の建替えや売却の際などにも問題になるおそれがあります。自宅の処分は本人の心身や生活にとても大きな影響を与えるため、この場合には事前に裁判所の許可を得る必要があります。例えば「認知症の親名義の自宅を施設入所費用捻出のため売却したい」「認知症の親の自宅を、長男夫婦と同居するため2世帯住宅に建替えたい」といったケースでは裁判所の許可が必要になります。

頼子(長女)頼子(長女)

でも、許可さえもらえれば大丈夫なんでしょ?どういう場合なら許可がでるの?

サポートさんサポートさん

許可がでるかどうかはケースバイケースです。裁判所は、処分の必要性や売却条件の相当性、本人の生活・心身の状況、本人の意向などを総合的に検討したうえで判断するので、この場合なら許可がでます、ということはいえないのです。

信子(母)信子(母)

我が家の場合、自宅を売ったりすることはないとは思うけど…。でも、いざというときに身動きが取れなくなるかもしれない、というのは不安ね。

ポチ(柴犬)ポチ(柴犬)

その2に続きます!

※本記事は掲載当時の法令等に基づき作成しております。また実際の金融機関等の対応は、個別事情などにより異なるケースがあります。